CBDは肩こりや不眠などの身近な不調だけでなく、うつ病や不安障害といった精神障害の改善にも効果があるといわれています。
うつ病や不安障害の治療は抗うつ剤や抗不安薬の処方がメインですが、これらの薬の副作用で苦しんでいる方が多くいらっしゃるのが現状です。
CBDが抗うつ剤や抗不安薬を代用とできれば多くの患者さんにメリットをもたらしますが、CBDは本当にうつ病や不安障害に効果があるのでしょうか?
そのメカニズムや、気になるCBDの副作用についても詳しくご説明します。
そもそもCBDとは?
CBDはカンナビジオールの略称で、大麻からとれる成分です。最近このCBDが、肩こりや頭痛などの慢性痛や不眠に効果があるといわれ、CBDオイルやCBDリキッドとして製品化され話題になっています。
また身近な不調だけでなく、皮膚炎や糖尿病など100を超える疾患に効果を発揮するともいわれています。
近年、世界各国で医療目的などで大麻が合法化されており、日本でも話題になる機会が増えています。 日本では大麻は違法薬物ですが、大麻草に含まれる「CBD」という成分は日本でも合法で、CBDを用いたオイルなど様々なサプリメントが発売されています[…]
CBDとはそもそもどのような成分なのでしょうか?まずはCBDについて詳しくみていきましょう。
CBDは大麻の有効成分の内の1つ
CBDは100種類以上ある大麻草の有効成分カンナビノイドのうちの1種類で、全体の4割近くを占めるカンナビノイドの主成分の1つです。
大麻草カンナビノイドには、人間の体内のカンナビノイドの欠乏を補う働きがあり、心身を健康に保ってくれます。なかでもCBDは不安やストレスの解消、抗けいれん作用、抗炎症作用などがあるとされ、医療面での効果が特に期待されています。
CBDとともに大麻草カンナビノイドの多くを占めている成分にTHC(テトラヒドロカンナビノール)があり、THCはリラックス効果や鎮痛効果など、精神的な影響が大きいとされています。
CBDはハイにならない
一般的に、大麻というと「ハイになる」「ハッピーになる」というドラックのイメージがあるかと思います。
CBDも大麻草から採れる成分ですが、精神的に興奮するような作用はないのでしょうか?
結論からいうと、CBDには精神作用はありません。大麻草カンナビノイドのうち摂取した人をハイにさせる成分はTHCで、THCは精神面への影響が強く幸福感や高揚感をもたらします。一般的にドラッグとして用いられる大麻にはTHCが多く含まれており、極端にTHC濃度の高い大麻を摂取すると、幻覚を見たりすることもあります。
大麻由来ということでどうしても不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、市場に流通しているCBD製品は大麻草からCBDだけを抽出しているため、ハイになったり幻覚を見たりすることもなく安心して使うことができます。
WHOでも2018年にCBDの安全性を報告するレポートが発表されており、CBDオイルは人体や動物に害のある成分はいっさい含まれない完全に安全なサプリメントであること、実験の結果CBDはTHCの代用にはならないため乱用や依存の可能性はないことが明示されています。
CBDの日本での販売・使用も合法
CBDには精神作用はなく、服用してもハイにならない安全な成分ということが分かりましたが、違法性についても気になるところです。現在流通しているCBD製品は、違法ではないのでしょうか?
CBDは大麻草に含まれる成分ですが、日本の大麻取締法で禁止されている違法薬物ではありません。どういうことなのか、詳しくみてみましょう。
「この法律で大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」
大麻取締法にはこのように記載されており、大麻草の種と茎を使った製品は禁止されていないことが分かります。CBDは大麻草の種と茎から採れる成分なので、その使用や流通は合法となるのです。
一方、THCは葉、花、穂から採れる成分のためTHCを含む製品は日本では違法になります。
このようにCBDは大麻草から採れる成分ですが合法としっかり定められており、安心して使うことができます。
うつ病と不安障害の違い
CBDの安全性が分かったところで、次はうつ病と不安障害の違いについて掘り下げてみていきましょう。
CBDは、精神的な不調や精神障害にも効果をもたらすといわれています。精神的な症状としてよく聞く病気といえば「うつ病」や「不安障害」ではないでしょうか?この2つの病気は患者さんの数も多く、国内にうつ病の患者さんは100万人以上、不安障害の患者さんはそれを上回る1,000万人以上もいるといわれています。
日常生活で気分が落ち込んだりすることは誰しもあると思いますが、どんな症状が出ると「うつ病」や「不安障害」と診断されるのでしょうか。2つの病気のそれぞれの特徴や現在行われている治療法について詳しくみていきましょう。
うつ病とは
うつ病になると、眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった抑うつ状態が長い間続きます。厚生労働省の調査によると、うつ病の知識が広く知られるようになったため受診者数も増え、近年急速にうつ病と診断される方が増えているようです。
心と身体の両方に異常が現れます。代表的な症状は以下の通りです。これらの症状が2週間以上続くのがうつ病の目安となっています。
精神的な症状
・憂うつで気分が重い
・無気力で何をしても楽しくない
・疲れているのに眠れない
・イライラが止まらない
・自分には価値がないと感じる
・ボーっとして思考力が落ちる
・生きていても仕方がないと感じる
身体的な症状
・食欲がなく体重が減る
・体がだるく疲れやすい
・性欲がない
・頭痛や肩こりがひどい
・動悸がする
・お腹の調子が安定しない
このような症状が起きる原因は、脳内のセロトニンが減少するためと考えられています。脳内や中枢神系で働く三大神経伝達物質のセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは、それぞれに役割を持っています。ドーパミンは快楽や喜びの感情を支配し、ノルアドレナリンは怒りや不安の感情を支配しています。セロトニンはこれら2つの物質を制御して精神を安定させる働きがあります。
そのためストレスを受けてセロトニンの量が低下すると、ドーパミンとノルアドレナリンをバランスよくコントロールできなくなり、攻撃的になったりうつ状態になったり、精神的に不安定な状態を引き起こすとされています。
セロトニンが低下する理由はストレスのほかに女性ホルモンの減少が知られており、更年期障害でうつ状態になってしまう方も多くみられます。
うつ病の原因はセロトニンの減少以外にも、他の病気や服用している薬の副作用のなどが挙げられます。
うつ病の一般的な治療方法
うつ病の治療には主に以下のような方法があります。治療は心療内科・精神科の医師や心理カウンセラーのもとで行われます。
投薬治療
うつ病は薬による治療が主流で、主に脳の神経伝達物質に作用する抗うつ薬が使われます。
ひとくちに抗うつ薬といってもさまざまな種類があり、SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)には「パキシル」や「デプロメール」、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)には「トレドミン」「サインバルタ」、三環系抗うつ薬には「トフラニール」「アモキサン」、四環系抗うつ剤には「ルジオミール」「テトラミド」といった薬があり、症状に合わせて用いられます。
抗うつ薬は副作用も大きいため、うつ症状の改善度合とのバランスを考慮して摂取する必要があります。抗うつ薬のほかにも、睡眠導入剤や抗不安剤が使われることもあります。
精神療法(認知行動療法)
うつ状態に性格や考え方などが大きく影響している場合は、投薬と合わせて精神療法が行われることもあります。代表的なのが認知行動療法で、物事の考え方や捉え方に着目して、感情や行動をコントロールできるようにしていきます。
認知行動療法などの精神療法はすぐに効果が出るわけではありませんが、一度認知の修正の仕方を覚えれば、その後の人生でもずっと実践できるためうつ病の再発予防としても効果的です。薬のように副作用もないので安心で、心理カウンセラーや臨床心理士が行っていることが多いです。
環境を変える
現在の環境から受けるストレスが大きいと考えられる場合は、調整できる範囲で環境を変えることも重要です。ストレスの原因がはっきりしている場合は、取り除く、距離を置くといった対処法が有効です。
といっても環境を変えること自体がストレスになってしまう場合もあるので、人によって慎重に行う必要があります。
不安障害とは
次は、もう一つの代表的な精神障害である不安障害についてご説明していきます。
不安障害とは、現時点では問題は起きていないにも関わらず、もしそうなったらどうしようと、想像の上で不安が過剰に高まり、不安な状況を避けようとする回避行動により日常生活に支障をきたしている状態を指します。
不安障害は何を不安と感じるかでさまざまな疾患に分類され、代表的なものには以下のような疾患があります。
全般性不安障害
全般性不安障害(GAD)は、特定の対象がない不安が6か月以上続くのが特徴です。他の不安障害では対象が限定されていますが、全般性不安障害の方は1つの心配が終わるとまた新たな心配事をみつけるので常に不安を感じる状態が続きます。
パニック障害
パニック障害では、電車に乗っているときや車を運転しているときなどに、突然動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。発作を繰り返すうちに、また発作が起きるのではないかという恐怖を感じ、出掛るのを避けるようになるなど生活に支障をきたすようになります。
原因はストレスではなく脳内の神経系の異常と考えられており、病気が進行してしまうと、うつ病やうつ状態を併発するおそれもあります。
社会不安障害
人前に出ると「失敗するのではないか」「恥をかいてしまうのではないか」と不安を感じ、極端にそのような状況を避けようとします。人前に出ると、動悸がしたり発汗したりなどの症状が出ることもあります。
そのため、人が集まる場所には行かないようになるなど「行動抑制」の気質が強くみられるようになり、仕事も制限されてしまうことが多いです。
不安障害の治療方法
不安障害ではどのような治療が行われているのかみていきましょう。
薬物療法
うつ病の場合と同じくお薬での治療がメインとなり、抗うつ剤の中のSSRIや抗不安薬、β遮断薬、必要に応じて睡眠導入剤なども使われます。抗うつ剤のSSRIは不安障害の治療でも多く使われており、脳内のセロトニンの濃度を高めることで不安を抑えてくれます。
抗不安薬は、具体的には「デパス」「ソラナックス」といった薬になります。即効性があり、不安や緊張を鎮めてくれますが、効果が切れるのも早く、長期使用では依存性も認められているため注意が必要です。また一時的に震えや動悸などの症状を抑えるβ遮断薬が使われることもあります。
精神療法
うつ病と同じく、有効と思われる方には認知行動療法による治療を行います。
CBDオイルはうつ病や不安障害に効果はある?
現状、お薬や心理療法による治療が行われているうつ病や不安障害に、CBDが症状改善の効果をもたらすといわれています。
実は抗うつ剤や抗不安剤には副作用も多くみられ、特に抗うつ剤は頭痛、下痢、吐き気を伴い、服薬開始時や減量時、中止時には不安感やイライラ感が増大したように感じることもあります。
また抗うつ剤は血中のセロトニンの濃度が高まるまで数週間飲み続けないと効果が出ないなど、多くの課題を抱えています。
CBDが薬の代用となれば、多くの患者さんにとってメリットとなります。CBDはうつ病や不安障害に効果を発揮するのか、そのメカニズムを詳しくみていきましょう。
うつ病や不安障害に対するCBDオイルの効果
科学的には、抗うつ剤の投与によってセロトニンを徐々に増やしていくのに対し、CBDは脳のセロトニン受容体に直接働きかけることができるという実験結果が出ています。
これには、5-HT1A受容体というセロトニンの受容体が深く関係しています。抗うつ剤の場合、服用を続けてセロトニンが5-HT1A受容体に達したところで、初めてセロトニンが十分量あると信号が出されます。
一方CBDは、高濃度のものを服用した場合、5-HT1A受容体を直接活性化できることが明らかになっています。そのため抗うつ剤とは違い、効果は瞬時に現れます。またセロトニンの量を増加させられることも分かっています。
このようにCBDはセロトニン受容体に直接働きかけることで抗うつ作用を発揮し、うつ病や不安障害を改善してくれます。
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その他の心理的症状も軽減する
CBDはうつ病や不安障害に限らずその他の心理的症状にも効果があり、代表的なものとしてPTSDが挙げられます。
PTSDの患者さんはストレスへの抵抗力を持つ内因性カンナビノイドが減少していることが分かっており、CBDを摂取することで不足したカンナビノイドを補うことができると考えられています。
アメリカでは多くの退役軍人がPTSDやうつ病で苦しんでおり、彼らの自殺率は平均よりも高い値が出ています。
彼らの多くは抗うつ剤や抗不安薬で症状を紛らわせていますが、依存して過剰摂取を繰り返したり、副作用に苦しんだり、逆に辛い状況に陥ってしまう人も多いみられます。
そのため、医療大麻が合法化されている州ではPTSDの治療として医療大麻が処方され、また合法化されていない州ではCBDが注目を集め、多くの軍人にCBDを推薦する運動も起こっています。
PTSDのほかにも、強迫性障害、自閉症などに効果があるといわれています。
CBDオイルの副作用
このようにさまざまな精神障害に効能があるCBDオイルですが、気になるのは副作用ですよね。抗うつ剤や抗不安薬に副作用が多いように、CBDも身体によくない作用があるのでしょうか。
CBDには、重大な副作用はありませんが、高容量を摂取した場合に以下のような症状が報告されています。
・喉が渇く
・吐き気がする
・一時的に記憶力や注意力が低下する
・血圧が下がる
・下痢になる
重篤な症状はなく、容量に気をつけるなどの注意をすれば副作用はほぼないといえるでしょう。
このように、CBDオイルは副作用を気にせずにうつ病や不安障害の改善に使うことができる画期的な製品なのです。
まとめ
CBDオイルがうつ病や不安障害にもたらす効果についてご説明してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にもう一度整理してみましょう。
・うつ病や不安障害の大きな原因は、セロトニンの減少と考えられている
・抗うつ剤はセロトニンを増やせるが、効果が出るまでに時間がかかり副作用も多い
・CBDは脳のセロトニン受容体に直接働きかけ、瞬時にセロトニンを増やすことができる
・CBDには副作用はほとんどないといえる
このように、CBDオイルはうつ病や不安障害の治療に使えると大きな期待を寄せられています。日本ではCBDオイルを含めたCBD製品は現在は健康食品として流通していますが、精神障害に対する効果が実証されれば、治療薬として認められる日も来るかもしれません。